エキスパートは質問に答える。アドバイザーは良い質問をする。
良い質問って何?
先日投稿した「専門家とアドバイザー」の違いで、専門家は質問に答えるが、アドバイザーは良い質問をする、と書きました。良い質問って何?と思われますよね。以前職場で発信した際、良い質問ならなんでもよいのか?というフィードバック(つっこみですね笑)をうけました。今回は良い質問についてその目的や効果、方法について書いてみたいと思います。
ここでの良い質問とは、相手との関係を強める、相手の理解や行動を変える質問、とします。使う場面として、コンサルティングやシステム導入でクライアントと対峙する場面、上司が部下の育成を行う場面があります。
説明や説得より質問をすることのメリットはなにか?楽に成果がでる(効率的かつ効果的)、これにつきます!
説得しようとしている事の前提が違っていた、理解はされたが納得感が醸成できなかった、といった経験は誰もがお持ちだと思います。私自身、30代でコンサルタントに転職した後、何度も会議で燃やされました(汗)その結果、サバイバル術として無意識に質問スキルを身に着けたものと思われます(笑)
無意識にしていたことを言語化してみました。だいたい以下の順に聞いてるようです。
始めの質問
目的:展開を変える
効果:会話や議論ではなく、質問により相手に影響を与える土俵に切り替える
使い方:今、考えているトップ3は何ですか?/今のチャレンジはなんでしょうか?
まずはじめに質問モードに土俵を変える必要があります。とっかかりとしてオープンに考えていること、頭にあることを聞いてみるのがよいです。
これに続き以下の状態を想像しながら順に質問していきます。発言している内容の真意を引き出し、気づきを与える事が一連の質問の目的です。
確認の質問
目的:クライアントに説明や依頼を理解したことを伝える
効果:信頼感の醸成。誤解の訂正
使い方:XXXという理解で合っていますか?
おうむ返しでなく、クライアントの言葉を言い換えて理解を確認しています。相手の反応がぼやっとしてる場合はモヤモヤが解消できるまで確認しましょう。
似て非なりの質問で「要するにこういうことですよね?」があります。これは理解を自分の引き出しに狭め削ぎ落ちる可能性があります。また失礼な印象を与えることがあるので要注意です。
真意を探る質問
目的:発言の意図、背景を理解する
効果:理解が正しいことが検証できる。潜在ニーズが引き出せる。
使い方:よく理解するために教えてください。XXXが必要なのは/重要なのはなぜですか?
なぜですか?とだけ聞くと失礼に響くことがあります。質問の目的を伝えましょう。
私の肌感ですが、理由を尋ねると相手の対応が少し変わります。簡単に答えていたものが考え始めるようになります。多くを話してくれる関係に一歩前進できます。
意図や目的がわかることでより良い代替案や、相手の勘違いに気づくことができます。また相手は意識していない潜在課題・ニーズが引き出せます。
気づかせる質問
目的:発想を広げる、深掘りする、焦点を絞る
効果:自分ゴト化してくれる。説得するより楽。
使い方:広げる質問、深ぼる質問、検証の質問を意識します。
広げる質問
- 選択肢を広げる:他に何がありますか?
- 発想を促す:もしもXXだとしたらどうしたいですか?(XX=極端な状態。魔法の杖があったとしたら。予算が0円だったら。)
深掘りする質問
- 原因を探る:XXが生じているのは何故ですか?
- フォーカスする:XXXのうち本当のチャレンジは何ですか?/XXに取り組む目的は何ですか?
検証する質問
- と言うことはXXではありませんか?(仮説をぶつける)
気付かせる質問の視点
これらの気づかせる質問が質問使いの真骨頂です。視野を広げたうえで、焦点を本質課題等に絞ることを質問をしながら相手に話してもらいながら行う技能が必要です。議論している特定分野についての知識や事例が必要になることも多いです。自分自身いつも苦労していますが、汎用性があるテクニックを少し書いてみます。
深堀る質問では以下の混同されがちな概念を整理していくとよいです。相手はたいてい混同しています。
- 目的と手段(目的と思っていることが実は手段)
- 事象と課題(課題はToBeと現状とのギャップ。それ以外は事象)
- 課題と原因(課題を生じさせている要因、課題が解決できない理由)
広げる質問は切り口の引き出しをもっておくと役立ちます。
- インプットとアウトプット(実施したこと、その結果得られた成果)
- 質と量
- マネジメント、プロセス、組織/人、システム
- 時間軸(短期、中期、長期)
勇気を出して聞いてみる
これまで私が無意識にやっていたことを言語化してみました。こんなに質問ばかりして大丈夫かと思いませんか?実践するのに一番重要なのは勇気かもしれません。
大丈夫です。ここに上げた質問は相手にとって得るものがある質問なので。逆に相手から引き出すだけの状況確認質問は最小限にとどめることが大事ですね。
ぜひ試してみて下さい。
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