最近の欧米のエリートはアートを学んでいるようです。リーダーシップに必要な美意識って何だろう。
消費目的の変化
全く知らなかった事ですが、最近の欧米のエリートはアートを学んでいるそうです。背景には消費が自己実現を目的としており、従前の機能的充足から満足、感動を求める消費活動に変わってきていることがあると言います。
言われてみれば、自分自身、多くを直感や感情で判断していることに気づきます。今乗っている車は10年近く経ち、以前は買い替えを考える時期ですが、事足りているし目新しさがなく、興味がわかない。先日ノートパソコンを購入した際もあれこれ比較するも、最初にいいなと思ったものに決めました。感情で決めて、理性で理由作りをする、そんな感じです。
論理思考の限界
確かに消費が自己実現の表現い向かい製品やサービスのデザインやストーリーが重要になったとして、なぜリーダーにとって美意識が重要なのでしょうか?
そこには論理思考の限界があると山口氏が著書「世界のエリートは何故美意識を学ぶのか」で論じています。
情報処理的論理思考の限界、自己実現消費の拡大、システム化が追い付かない世界の出現、にあるといいます。
このような状況では過度なに論理的であろうとすると、分析麻痺を生じ決められない、経済的利益を追求し倫理に反した選択をしてしまう、機能を追求するも差別化ができない状況に陥ってしまう。そこでリーダーには自身の美意識に依拠した判断が求められる、と。
リーダーに必要な美意識って何だろう
美意識に依拠した判断とは、倫理観、直感や感性に基づく判断と理解して良さそうに思います。経済の成熟、自己実現消費の拡大、問題の曖昧化により、これまでよりリーダー自身の規律や信念が問われる状況になってきた、という事でしょう。
この理由は外部要因だけでなく、組織の中に目を向けると一層理解できると思います。自己実現を目指す消費者は、翻って仕事を通じて自己実現を目指す社員になります。メトリクスに基づき正しい判断を論理的に行うリーダーにはどこかで物足りなさを感じ、共感できる事業目的やビジョン、感性や直感に訴求するようなコミュニケーションを求めている事を日々感じます。
私が以前働いていた外資EC会社はメトリクス管理や仕組み化を徹底している組織ですが、同時に、カスタマーファーストな倫理観と行動指針が浸透していました。これによって、たとえ仕組みの上で動く仕事だとしても、社員が尊厳とプライドを持って仕事をする文化がありました。
一方、事業の数字目標はあれど、何のために事業をしているのか、社会的意義は何かを示せていない組織も数多くあります。
リーダーシップの型は時代により変わるものですが、メンバーのサポート役に徹する「サーバントリーダーシップ」は、現代の組織を牽引するリーダーシップとしては物足りなさを感じます。かと言って、マッキャベリの「畏敬の念により統治するリーダーシップ」もこれだけ価値観が多様化している中、時代錯誤でしょう。
右脳の言葉でディレクションを
リーダーシップとは方向付けし、組織を束ね動機づけることだと考えています。これは本質的に変わらないものでしょう。その際に、感情や感性に刺さる「右脳の言葉」で事業や組織の目的をコミュニケーションすべし。これが私が改めて認識したことです。
左脳に偏っている私にとっては難しい事ですが、論理思考や数字による判断を重視してきた態度を見直す必要がありそうです。
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